前回はデータ分析について取り上げましたが、今回はその対象となるマーケットデータの現状について説明します。ここで、マーケットデータと言っているのは、各メーカーが販売する医療材料がどのディーラー(卸、代理店)を通して、どの病院に、いつ、幾つ販売されたかが業界全体でまとまった情報です。その意味では、医薬業界では、IMS等がサービスとして提供しているためマーケットデータは存在しますが、医療機器業界では扱っている会社もなくマーケットデータは存在しません。分析のもとになるデータが存在しない訳ですから、医療機器業界でのマーケティングはかなり狭い領域の活動になります。その意味で、あるディーラーの方から「医療機器業界は医薬に比べ20年遅れている」とお聞きしましたが、その通りと思います。
目次
IMSのサービス詳細
まずは、手本(?)に近いところとして、医薬業界で活躍しているIMSのサービスについて説明します。
アイ・エム・エス・ジャパン株式会社 | IMS Health
IMSの詳細モデルについては以下リンクをご覧ください。
https://
IMSは、米国本社を中心にデータビジネスをしている会社で、日本でも医薬業界ではスタンダート的な存在です。データ量や深さにより料金が異なることなりますが、大手ベンダー、中堅ベンダー、中小ベンダー等、それぞれのビジネスに必要な形態で購入をしています。主なデータの種類としては
- 売上データ
- 訪問宣伝データ
- 処方診断データ
- 調剤レセプトデータ
前述のマーケティングデータに近いのは①売上データで、②訪問宣伝データは医師にどのベンダーがいつどんな営業活動をしたかをアンケート調査したもの、③処方診断データは医師に対し処方をアンケート調査したもの、④調剤レセプトデータは、各調剤薬局チェーンから調剤データを購入したものとなります。①売上データからスタートしたのですが、ニーズに合わせていろいろ種類を増やしています。
売上データも以下に分かれています。
- 全国レベルデータ
- 都道府県レベルデータ
- 市区郡レベルデータ
- 町丁目レベルデータ
このレベルのデータを各種媒体(紙、データファイル、DB等)で提供しており、10数種類の薬効区分や地域の範囲等、顧客の必要に合わせ切り売りもしています。一番深い町丁目レベルになりますと、かなり高い価格になりますので、各社工夫して必要な部分だけ購入しています。大手・中堅ベンダーだと億円単位の価格を支払っているようです。
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