医療機器業界にはEDIとして、MD-Netという仕組みがあります。MD-Netは医薬業界のJD-Netと同様に、メーカーとディーラー(卸)とをネットワークと通してつなげているEDIで、発注(受注)の情報や仕切(出荷+請求情報)等を日々、やり取りする仕組みです。
幾つかの主要メーカー・ディーラーの方々がほぼ有志で集まって、一つずつディーラーに説明を行い、時にはディーラーのシステム構築へのアドバイスもしながら一つ一つ広げて今日に至ります。そのご苦労はなかなか大変だったようです。
私は関わって10年に満たないので、ほぼ仕組みも確立しておりました。開始当初のご苦労は全くしらないで、一つ一つディーラーとコミュニケーションをとり、テストをする必要について不思議に思っていたものですが、実際、ディーラー側の状況を知ると開始当初のご苦労は容易に想像できます。この業界は、新しいことに踏み出すことには必ずしも積極的ではないようです。そんなご苦労もあり確立されたMD-Netにより、いくつかの効率化が進みました。
- メーカー側で受注入力の手間が省けたことにより、工数削減、締切時間の延長
- ディーラー側で後値引きが進むことにより、在庫管理の効率化
MD-Netのメリット
一番のメリットといえるのが、開始前までメーカー側で全てFAXで受けていた受注が、EDIとしてデータ化できたことです。 EDIを通して、自社システムへの自動連携を開発することにより、データが自動に取り込まれ、受注伝票が自動で作成されます。 FAXを手入力する必要がないため、MD-Netで受け取ったデータの分だけ、確実に作業が不要になります。実際、50%導入したメーカーは、50%工数減となります。また、自社システムの仕組みに依存しますが、FAX入力時間が不要になるため、出荷まで自動化できれば、発注の締切時間(受注の締切時間)を後にずらすことも可能です。
ディーラー側では、発注部分ではあまりメリットを感じるところはないようです。 大手のディーラーは、すでに自社システムに入力した発注内容を自動でメーカーへFAXする仕組みを持っているところが多く、それがそのままEDIデータとされるだけですので、あまり差はありません。また、急ぎの処理やシステムが利用できない環境では、そのまま継続してFAXを利用する必要があります。ただ、直接はMD-Netには関係ありませんが、同時に病院毎に違う価格とディーラー価格との差を後で補填する後値引きをするところも多く、その場合は在庫を病院毎に管理する必要がないため在庫の圧縮、効率化につながります。また、仕切データを荷受けに利用しているところもあり、その場合は倉庫作業の効率化にもつながります。
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